OMStory 2 -62 (TY☆JH編)ー舞台ー




オク「お嬢!」

オク君は爽やかな笑顔で私を呼んでいる

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「オク君!」

ジュノの公演会場の前で待ち合わせをした私達。
私はオク君に駆け寄る



オク「なんか、日本にいるのに、久しぶりだな…」

彼は、優しく微笑みながら、私の髪を撫でた



「帰国した日、デートして以来だよ!オク君忙しいから…」

普通だったら、ムクレル私だけど、
久しぶりに会う彼に笑顔を見てもらいたくて、
私は笑った



「会いたかったよ!」



オク「…そうだな。」

オク君も優しい瞳で、私を見てくれた

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私達は手をつないで、ジュノの噂話なんかしながら、
席についた



オク「やっぱ、すげー会場だな!学生、出世したなぁ!」



「フフフ、だってジュノ演技上手いもん」



オク「あ、学生になんか差し入れ要らなかった?」



「要らないよ~脇役の代理だから、楽屋も来ないでって言われてる(笑)」


オク「そっか(笑)じゃっ、差し入れは主演になった時だな!」


「そうだね…その時は絶対観に来なきゃ…」


私は、オク君と楽しい話をしているのに、
その未来形の言葉に息が詰まりそうになった


そんな未来、私達二人で迎えられるの?


まだ、舞台の幕は上がっていないのに、
涙が零れそう


その時、ちょうど会場が暗転した


オク君は、私の表情に気づいただろうか?



オク「お嬢、始まるよ…」

彼は優しく囁いて、私の手をそっと握った

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ーーーーー





悲しい話の舞台

さすが、名高い演出家の公演は素敵で

吸い込まれた


ジュノも、そのストーリーの中で輝いていた

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今までのジュノの自主舞台のように、
際立ってというのではなく、
その舞台自体を輝かせるパーツのように

ジュノは役目を果たしていた



幕が降り、役者達の挨拶では、
客席はスタンディングオベーション…

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私もオク君も立ち上がって拍手した


ジュノも舞台端で、私達に向けて笑顔を見せてくれた

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オク「いい舞台だったな。」


「そうだね。感動しちゃった……行こっか」

私が席を後にしようとすると、
オク君が私の手をしっかりと引いた

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オク「今、混んでるから…もう少し後にしよう」


「……うん。」

オク君は、引いた私の手をそのまま離さない



オク「お嬢……」



「あ!ジュノね、さっきこっち見てたよね♪
きっと緊張したんだろーな♪」

私はオク君の言葉を遮って、
タワイノナイ話をした



彼の握った手が、私の心を締め付ける



オク「…お嬢、話たい事があるんだ」


「あ……聞き…たく……ないよ」

私は彼を見ないように俯いた



オク「お嬢!……目をそらすなよ。
……もう知ってるんだろ?」


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「…………」


オク「…俺、ロスに転勤なんだ。短くても5年。まぁ、実際もっと長いと思う。」

オク君は淡々と話した



「そう…らしいね。」


オク「…………」



周りは観客達が順に出口へ向かい、
賑わう話声で溢れているのに、

私達は、
別世界にいるかのような静寂に包まれた



今の話をなかった事にしたくて
私は、口火を切った



「お、オク君なら支社長も大丈夫だよ!
ね、ご飯食べに行こう!」


オク「お嬢!」



「………」


オク「俺、五年以上も…お嬢を待たせたりできない。」


「あ………。そう、だね…」


オク「お嬢……、お嬢はどうしたい?」



今、避けていた現実が目の前にあった

返事をする前に、涙が私の頬を伝った



「あ………、い、行かないで……一緒にいて……」


絞り出した声は、なんて幼稚な言葉


彼は、私の手を握ったまま、
しっかりと私を見つめている


オク「…ゴメン。俺、今回の仕事はやりたいんだ。
だから、ロスには行く…」


「……じゃっ、じゃぁ、この話止めようよ!
…今決めなくても、いいじゃない……」



オク「……お嬢……、俺、お嬢の人生を…制限したりしたくないんだ。先延ばしにしても…答えは変わらないだろ?」


オク君は、私の溢れる涙を、時折拭ってくれる



公演に感動して号泣している観客も沢山いたから
…誰も私達を気にとめなかった

そう、私達も広い会場の一つのパーツのようだった




オク君、今は隣にいてくれるのに……

言葉を一つ、また一つ聞く度に、


苦しくて、胸が潰れそうだよ






「じゃぁ、別れるしかないじゃない!?
…………嫌だよ!」



私は、苦しくて苦しくて……

一番聞きたくない言葉を

自分から発してしまった





※お写真お借りしました

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